企業の内部不正を見抜く ── 元刑事が語る「初動対応」と「証拠保全」の鉄則
調査

企業の内部不正を見抜く ── 元刑事が語る「初動対応」と「証拠保全」の鉄則

2026年2月18日読了 2分合同会社LIT

横領、情報漏洩、経費の不正請求。企業内部の不正は、発覚した瞬間の対応が結果を左右します。刑事捜査の現場で培った証拠保全のノウハウと、不正を見逃さないための初動対応の鉄則を解説します。

企業における内部不正は、年々巧妙化しています。横領、キックバック、経費の水増し請求、機密情報の持ち出し。これらの不正行為は、発覚が遅れるほど被害額が膨らみ、企業の信用を大きく毀損します。刑事として数多くの経済犯罪を捜査してきた経験から、企業が取るべき初動対応の重要性をお伝えします。

不正の兆候を察知した際、最も重要なのは「証拠の保全」です。多くの企業が犯しがちな過ちは、不正の疑いがある従業員に直接問い詰めてしまうことです。これは最悪の対応です。本人に気づかれた瞬間から、証拠の隠滅が始まります。メールの削除、書類の廃棄、関係者との口裏合わせ。捜査の現場では、証拠隠滅のスピードに何度も苦しめられてきました。

初動対応の第一歩は、「秘密裏の情報収集」です。不正の疑いがある人物の行動パターン、関係者の特定、関連する書類やデータの洗い出しを、本人に悟られないように進めます。この段階で重要なのは、デジタルデータの保全です。パソコンのアクセスログ、メールの送受信記録、入退室記録など、電子的な証拠は改ざんや削除が容易なため、早期の保全が不可欠です。

証拠保全においては、「チェーン・オブ・カストディ(証拠の連鎖)」という概念が重要です。これは、証拠がいつ、誰によって、どのように収集・保管されたかを記録することで、証拠の信頼性を担保する手法です。刑事事件の捜査では当然のように行われていますが、企業の内部調査では見落とされがちです。この手順を怠ると、後の法的手続きで証拠能力を否定される可能性があります。

ヒアリング調査を行う際にも、刑事捜査のテクニックが活きます。対象者への聴取は、客観的な証拠を十分に収集した後に行うのが鉄則です。証拠を示しながら質問することで、虚偽の説明を封じることができます。また、聴取の順序も重要で、周辺の関係者から先に話を聞き、核心人物への聴取は最後に行います。

不正調査において見落とされがちなのが、「動機」の分析です。刑事捜査では「動機・機会・正当化」の3要素(不正のトライアングル)を常に意識します。なぜ不正に手を染めたのか。その背景を理解することが、再発防止策の策定に直結します。個人の金銭的困窮だけでなく、組織の管理体制の不備や、内部統制の形骸化が根本原因であることも少なくありません。

合同会社LITの調査ブランド「L SECRET AGENT」では、警察OBの捜査経験を活かした企業不正調査サービスを提供しています。証拠保全から調査報告書の作成まで、法的手続きを見据えた一貫した調査を行います。「何かおかしい」と感じた段階でのご相談が、被害を最小限に抑える鍵となります。

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