企業の情報漏洩を防ぐ ── 元刑事が語る「内部犯行」の実態と対策
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企業の情報漏洩を防ぐ ── 元刑事が語る「内部犯行」の実態と対策

2026年2月8日読了 2分合同会社LIT

情報漏洩事件の多くは、外部からのサイバー攻撃ではなく、内部の人間による犯行です。サイバー犯罪捜査の経験を持つ元刑事が、企業の情報漏洩の実態と、実効性のある防止策を解説します。

企業の情報漏洩と聞くと、多くの方がハッカーによるサイバー攻撃を想像されるかもしれません。しかし、実際に捜査の現場で見てきた情報漏洩事件の多くは、内部の従業員や元従業員による犯行でした。退職時に顧客データを持ち出す、競合他社に技術情報を売り渡す、個人的な恨みから機密情報を暴露する。内部犯行は、外部攻撃よりも発見が遅れ、被害が深刻化しやすい特徴があります。

内部犯行による情報漏洩には、いくつかの典型的なパターンがあります。最も多いのは、退職予定者による顧客情報や営業秘密の持ち出しです。退職の意思を固めた従業員が、転職先への「手土産」として情報を持ち出すケースは後を絶ちません。退職届が提出された時点で、すでにデータのコピーが完了していることも珍しくありません。

情報漏洩の兆候を早期に察知するためのポイントがあります。まず、業務時間外のシステムアクセスの急増です。特に、退職予定者や不満を抱えている従業員が、深夜や休日に大量のファイルにアクセスしている場合は要注意です。次に、USBメモリやクラウドストレージへの大量データ転送です。業務上の必要性がないにもかかわらず、大量のデータを外部媒体に移している場合は、情報持ち出しの可能性を疑うべきです。

技術的な対策としては、アクセスログの監視、データ損失防止(DLP)ツールの導入、USBポートの制御、クラウドストレージへのアップロード制限などが有効です。しかし、技術的対策だけでは不十分です。最も重要なのは、「人」に対するマネジメントです。従業員の不満や不安を早期に把握し、適切に対処することが、内部犯行の最大の予防策となります。

情報漏洩が発覚した場合の対応も重要です。まず、被害の範囲を特定するために、アクセスログの保全を最優先で行ってください。ログが上書きされてしまうと、後の調査が著しく困難になります。次に、漏洩した情報の内容と影響範囲を評価し、必要に応じて関係者への通知や監督官庁への報告を行います。

退職者による情報持ち出しを防ぐためには、退職プロセスの整備が不可欠です。退職届の受理と同時に、機密情報へのアクセス権限を見直し、退職日にはすべてのアカウントを無効化する。貸与機器の返却時には、データの完全消去を確認する。これらの手順を、例外なく実施することが重要です。

合同会社LITでは、企業の情報セキュリティに関する調査・コンサルティングを提供しています。サイバー犯罪捜査の経験を持つ警察OBが、御社の情報管理体制を診断し、実効性のある対策をご提案します。情報漏洩は、起きてからでは取り返しがつきません。予防こそが最大の防御です。

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